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- 肝機能異常
よくお酒を飲む方は、注意が必要です
肝臓は少しの不調があっても自覚症状がほとんど出ないため、病気の発見が遅れてしまうことがよくあります。特に、長年の飲酒習慣がある方は、気づかないうちに肝硬変や肝がんに進行している場合もあり、危険です。健康診断で肝臓の数値(ビリルビン、AST、ALT、γGTP)の上昇を指摘された方は、早めに受診をお願いします。
肝臓の役割
肝臓は、お腹の右上あたりにある、身体の中で一番重い臓器です。多少の差はあるものの、重量は体重の約2%と言われており、60kgの体重の人で1.2kgほどの重さがあります。予備能力が高いため、肝臓を70~80%切除しても生命維持が可能であり、細胞の再生能力も高いことが特徴です。
肝臓には、大きく3つの役割があります。
栄養分を作る
小腸で吸収されたアミノ酸などの栄養分が肝臓へ運ばれ、そこからたんぱく質、糖質、脂質、ビタミンなどを精製します。また、脂肪分の吸収を助ける胆汁を作る働きもあります。
栄養分をためる
小腸で吸収されたブドウ糖からグリコーゲンを作り、肝臓に栄養を溜めこむことができます。ビタミンなども蓄積し、必要なときに血液にのせて送り出す役割を担っています。
不要なものを解毒する
アルコールやアンモニアなど、身体に悪影響のある毒素を解毒する働きがあります。肝臓で分解した毒素は、尿などによって体外に排出しています。
肝機能障害を起こす主な疾患
脂肪肝
中性脂肪が肝臓にたまった状態を指し、「脂肪性肝障害」とも言われます。
アルコール性脂肪肝
体内に入ったアルコールは肝臓で分解されますが、一般的に過剰な飲酒を5年以上続けていると中性脂肪が蓄積してしまいます。脂肪肝から肝炎、肝硬変、肝がんなどに進行することがあります。
非アルコール性脂肪肝
お酒を飲まない人でも、何らかの理由でインスリンの働きが低下すると、肝臓に脂肪がたまってしまいます。多くは肥満や高血圧などが原因ですが、ストレスや薬の副作用などが影響することもあります。
最近では、プロテイン摂取などによる過栄養に起因した脂肪肝炎なども多く見られます。カロリー摂取と消費のバランスが上手くいかないと余剰なカロリーが肝臓に貯蔵してしまいます。
肝炎
肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が破壊される病気で、原因は様々ありますが、日本では以前は「ウイルス性肝炎」が多くを占めていましたが、最近では脂肪肝炎やアルコール性肝炎の割合が増加しています。
ウイルス性肝炎
A~E型のタイプに分けられる肝炎ウイルスによる感染症です。B型とC型が慢性化しやすく、母子感染や性的接触、注射針からの感染などが知られています。
アルコール性肝炎
長期間の飲酒で起こる肝炎です。腹痛、発熱、色の濃い尿、黄疸などのわかりやすい症状が見られることが特徴です。一番の治療は禁酒ですが、重症化しているときは入院が必要になることもあります。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:ナッシュ)
食べすぎや運動不足、肥満、糖尿病、脂質異常症などを背景に発症する肝炎です。肝細胞の炎症が長期間持続すると、肝硬変・肝臓がんへの進行する可能性もあることが知られており、日本でも肥満人口が増えているため、今後は非アルコール性脂肪性肝炎の患者も増加すると予想されています。近年では脂肪肝により代謝異常を生じ、糖尿病や動脈硬化性疾患への進展が懸念されており、MAFLD(Metabolic dysfunction associated fatty liver disease)という疾患概念が注目されています。