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- 高尿酸血症(痛風)
痛風の患者は全国で25万人以上に

高尿酸血症とは、血液中にある尿酸の濃度が異常に高まった状態を言います。7.0mg/dL以上になると高尿酸血症と診断され、この状態が続くと血液に溶けきらなくなった尿酸が結晶化します。痛風を始め、様々な病気を引き起こすほか、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病のリスク要因にもなると言われています。
現在、痛風で通院中の方は全国で125万人以上、25年間で約3倍まで急増しています。高尿酸血症の方はその10倍と推定されており、身近な病気だと言えます。
高尿酸血症の種類と原因
本来、健康な人の体内では1日に700mgの尿酸を作って排泄することを繰り返し、常に1,200mgが体内に蓄積されています。このバランスが崩れることで、尿酸値が7.0mg/dL以上になった状態が「高尿酸血症」です。
- 尿酸の排泄がうまくいかない(排泄低下)
- 体内で尿酸を作りすぎる(産生過剰)
- どちらもの要素がある
高尿酸血症は大きく上記の3パターンに分かれ、日本人は排泄がうまくいかないタイプが多いと言われています。女性ホルモンに尿酸を排泄させる作用があるため、高尿酸血症の患者様の大半は男性です。検査によってどのタイプなのか判断し、それぞれに適した薬の服用を検討します。
一般的に高尿酸血症から痛風発作を発症するまでの期間は約10年から15年と推定されており、血清尿酸値が高いほど、痛風関節炎の発症率が増加することが知られています。
Campionらは、Normative Aging Studyにて健常男性2046名を15年間観察した結果、血清尿酸値9.0mg/dL以上では、1
年間に4.9%の男性が痛風関節炎を発症しており(5年で22%)、7.0~ 8.9mg/dLでは 0.5%、7.0mg/dL以下では 0.1%であるのに比べて明らかに多かったと報告しています。(参考文献:Campion EW,et al.Asymptomatic hyperuricemia.Risks and consequences in the Normative Aging Study.Am J Med.1987 Mar;82(3):421-6.)
高尿酸血症の原因
- プリン体の過剰摂取
- アルコールの過剰摂取
- 肥満
- 遺伝などの体質 など
特に、プリン体の多い食品ばかりを摂りすぎている方は要注意です。レバーや魚卵、ビールなどを控え、偏った食生活を見直していきましょう。
高尿酸血症が引き起こす主な病気
痛風発作
高尿酸血症が続いてできた尿酸の結晶が関節にたまり剥がれ落ちることで、「風があたるだけでも痛い」ほどの激しい痛みを伴う「痛風」になります。
尿酸の結晶が生じやすい夜中から明け方にかけての時間帯や、たくさん汗をかく夏などに痛風発作が起こることが多いと言われています。痛風発作や再発を予防するためには、尿酸値を6.0mg/dL以下に抑えることが大切です。
尿酸値を4.6mg/dlから6.6mg/dlにコントロールした時が最も痛風発作の発症率が低いと言われています。(参考文献:Yamanaka H, et al. Optimal range of serum urate concentrations to minimize risk of gouty attacks during anti-hyperuricemic treatment. Adv Exp Med Biol. 1998;431:13-8. )
痛み、皮膚の赤みなど関節炎を生じている場合は、消炎鎮痛剤でしっかりと炎症を抑える必要がありますからまずは一度診察・治療のためにご来院下さい。

腎障害、尿路結石
尿酸の結晶が腎臓にたまると、腎機能の低下を招きます。高尿酸血症は尿酸結石だけではなく、尿路結石で頻度が高いシュウ酸カルシウム結石の形成を促進して尿路結石のリスクを増加させます。尿路結石は特に尿管に詰まるで激しい痛みを感じ、血尿が出ることもあります。
慢性腎臓病
結晶化していなくても、尿酸が直接、腎臓に悪影響を与えることがあります。初期はほとんど自覚症状がなく、ゆっくりと腎臓の機能が弱っていくことが特徴です。
心疾患
高血圧と高尿酸血症を合併していると、動脈硬化が起こり、狭心症や心筋梗塞になりやすいと言われています。
メタボリックシンドローム
内臓に大量の脂肪がたまると、糖尿病や脂質異常症、高血圧を引き起こすメタボリックシンドロームに繋がります。内臓脂肪が多く尿酸値が高い場合は、早めの治療を検討しましょう。

高尿酸血症・痛風の治療について
高尿酸血症は、血液中の尿酸値が高くなる状態を指し、これが原因で発生する痛風は、関節に激しい痛みをもたらす病気です。これらの病気は適切な治療を行わないと慢性化し、関節の損傷や腎臓病など他の健康問題を引き起こすリスクがあります。
当クリニックでは、以下のアプローチで高尿酸血症と痛風の治療を行います。
生活習慣の改善
健康的な食生活の指導、特にプリン体の多い食品(ビール、魚卵、干物、干し椎茸、レバー、白子、あん肝など)や果糖を多く含む清涼飲料水・甘味飲料の摂取制限、適度な運動、アルコール摂取の制限などを通じて、尿酸値を自然に下げる方法を提案します。
最近の研究では、牛乳・大豆の摂取頻度が少ないことや睡眠時間が短いことが高尿酸血症の危険因子であると報告されており、揚げ物やアルコール、プリン体の多い商品の制限をすると共に、牛乳や大豆食品の接種を増やすことと、睡眠時間を増やすことを心がけましょう。(参考文献:Zhang WZ, et al. A study on the correlation between hyperuricemia and lifestyle and dietary habits. Medicine (Baltimore). 2025 Jan 31;104(5):e41399.)
薬物療法
尿酸値を下げる薬(尿酸低下薬)や痛風発作時の痛みを緩和する薬を用いて治療を行います。患者様の状態に応じて適切な薬剤を選択し、治療を進めます。

尿路結石症
尿路結石症とは
尿路結石症とは、尿管に結石が詰まり、腰の辺りに痛みが生じる病気です。症状は激痛のこともあり、脂汗が出て、吐き気も出ることがあり、救急要請して救急車で搬送されることもあります。

尿路結石症の診断
尿管に結石が詰まるため、尿管の粘膜を傷め、尿検査で血尿が出ることが多いです。肉眼的血尿といい、尿の色が真っ赤になることもあります。
他には、腹部エコーを行い、腎臓の内部の尿管の起始部である腎盂(じんう)の拡張や尿管結石の確認を行うことで診断となります。
尿路結石の治療
尿路結石は基本的には自然に排出されることが多いです。水分を多く摂取し尿量が多くなることで排出されやすくなることが知られていますので、普段より多い水分量(2000ml〜2500ml)を摂取することが推奨されています。
結石が大きい場合(7mm以上)では、自然に排出されないこともあり、症状が続く場合は、超音波砕石治療が可能な施設に紹介することもあります。
尿路結石の再発を避けるための食事療法
基本的には、「動物性タンパク質の過剰摂取を控える、「塩分摂取過剰を避ける」、「カルシウムは制限し過ぎない(600-800mg/day程度)」、「果物や野菜などクエン酸を含むものを増やす」「シュウ酸を多く含む食品(ナッツ類、チョコレート、ほうれん草)の過剰摂取を控える」ということがアメリカのガイドラインでは推奨されています。(参考文献:Pearle MS, Goldfarb DS, Assimos DG, et al. Medical Management of Kidney Stones: AUA Guideline. J Urol. 2014; 192: 316-324.)
コーヒーの摂取は尿路結石のリスクを上げるのではないかと心配される方もいますが、コーヒーの制限はする必要はなく、コーヒーやカフェインなどの摂取はむしろ利尿作用やカルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどの排出も促すため、尿管結石のリスクを下げるという報告もあります。(参考文献:Barghouthy Y, Corrales M, Doizi S, Somani BK, Traxer O. Tea and Coffee Consumption and Pathophysiology Related to Kidney Stone Formation: A Systematic Review. World J Urol. 2021; 39: 2417-2426.)

紅茶はシュウ酸が多く含まれているため、尿路結石のリスクが上がることが知られているため、摂取し過ぎないようにして下さい。
砂糖など含む清涼飲料水も尿路結石のリスクを上げることが知られており、注意が必要です。

