今回は、2024年10月から接種開始された経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻液)について紹介します。
経鼻インフルエンザワクチンは、これまで海外では既に導入されておりましたが、日本では今年から正式に製品化され、多くの医療機関でワクチン接種が可能になりました。
これまでの注射のインフルエンザワクチンの代わりに経鼻インフルエンザワクチンを接種することで、インフルエンザの予防になりますので、「注射が嫌いなお子様」にとっては朗報です。
あまり聞いたことがないから心配、初めての接種で心配などあると思いますので、今回のコラムで解説していきます。
経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト)ってどんなワクチン?
日本初の鼻へ噴霧するタイプのインフルエンザワクチンです。針をささなくて済み、鼻に噴霧するだけで接種が完了するので、痛みがありません。
対象は2歳から18歳までの方です。従来の注射のインフルエンザワクチンは13歳未満は2回の接種が必要でしたが、フルミストはどの年齢でも1回の接種で接種が完了します。
左右の鼻に0.1mlずつ、合計0.2mlの点鼻を行います。0.1mlというのは目薬2滴分くらいのごく少量です。ワクチン自体も無味・無臭であり、刺激性も少ないため、接種時の痛みはほとんどないと言われています。
実際のワクチンの大きさですが、ボールペンと比べてもこんなに小さいです↓
接種後にくしゃみをしたり、鼻をかんだとしても、噴霧した液が鼻の粘膜に付着していれば、免疫応答が開始しますので、問題ないと言われています。
注射のワクチンは不活化ワクチンといって、感染のリスクは全くありませんが、経鼻インフルエンザワクチンは弱毒化した生ワクチンであり、点鼻液に触れた場合は免疫力が低下している方だと感染が成立してしまう可能性はわずかながらありますので注意が必要です。
フルミスト接種後、2-4週間はインフルエンザ抗原検査を行った場合、インフルエンザに感染していなくても、ワクチンが反応してしまい陽性となってしまうことがあります。抗原検査を受ける場合は、医師に点鼻ワクチンを接種した旨をお伝え下さい。
その他注意としましては、卵アレルギーがある方、妊娠している方は接種が出来ません。また鼻詰まりがひどくて粘膜露出の確認出来ない方は接種が出来ません。
経鼻インフルエンザワクチンのメリットは?
なんといっても、「注射の痛みを味わなくて済む」というのが、お子様にとってはメリットだと思います。ご家族も注射を嫌がるお子様を連れて医療機関に行くのに毎年うんざりしている方もいると思います。そんな方は経鼻インフルエンザワクチンをお勧めします。
また13歳未満でも1回の接種でワクチンが完了するので、医療機関に2度行く必要がなくなります。
ワクチンの作用機序としても、鼻や咽頭の粘膜の免疫細胞(IgA)を活性化させ、注射にはない感染予防機能が働くとも言われています。感染予防効果自体は直接の比較試験はないようですが、以前のデータと比較しても注射と大きく変わらないと考えられています。
ワクチンの値段は注射よりはやや割高にはなりますが、各自治体の助成を利用する場合は安く接種することが可能です。東京都荒川区では医療機関で支払いを行った後、各自手続きを行って頂くと4000円の償還払いがあります(令和7年1月31日まで)。(詳細については荒川区ホームページをご確認下さい。)
今年度は日本での発売初年度ということもあり、製品の量が少ないことが予想されています。ご希望される方は早めに医療機関にお問い合わせ下さい。
荒川区南千住の土屋クリニックでは経鼻インフルエンザワクチン(フルミスト点鼻液)は完全予約制にて受け付けております。接種費用は9000円/円(税込)です。
ご希望される方はWebから予約(経鼻インフルエンザワクチン)をお願い致します。
まとめ
・経鼻インフルエンザワクチンはこれまでの注射とは異なり、少量で痛みがなく、接種可能なワクチンです。
・2歳から19歳未満が対象で、対象者は1回のワクチンで接種が完了します(注射のインフルエンザは13歳未満は2回接種が推奨されています)。
・注射が嫌でインフルエンザワクチンが憂鬱だった、ワクチン接種を回避していたなどの方は是非経鼻インフルエンザワクチンをご検討下さい。
■クリニック名
医療法人社団杏音会 土屋クリニック
■院長
土屋 杏平
■所在地
〒116-0003 東京都荒川区南千住7丁目12−15
■電話番号
03-3806-9029