ニュースでも取り上げられていますが、百日咳が流行しているようです。(NHKニュース 百日せき ことしの累計患者数が4100人に 去年1年間を上回る 2025/4/1)
3月23日までの1週間に、全国の医療機関から報告された患者の数は458人で、今年のの累計の患者数は4100人となったそうです。
去年1年間の患者数は4054人で、今年は既にこれを上回る報告数となっているそうです。
今回は流行している「百日咳」について解説していきます。
百日咳ってどんな病気?
百日咳菌(Bordetella pertussis)、パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)という細菌感染により発症し、長引く咳が特徴的です。昔は100日咳が続くということから”百日咳”と名付けられたようです。
コロナやインフルエンザ、マイコプラズマなどと同様に飛沫感染、接触感染により伝播し、感染力はかなり高いことが知られており、麻疹と同じくらい、インフルエンザよりも強い感染力を持っていると言われています。ですから、家庭内や学校・会社内でも感染拡大しやすい感染症となっています。
感染成立後、潜伏期は5-10日くらいが標準ですが、長いと3週間くらいといわれています。
初期はカタル期と呼ばれ、軽い咳や鼻汁、咽頭痛など感冒症状がメインです。この時期がもっとも感染力が強いと言われています。2-3週間くらい続くこともありますが、症状から他の風邪と見分けを付けるのは難しいです。
続いて、痙咳期(けいがいき)という百日咳特有の「激しく咳き込みが立て続けに起こり、最後にひゅーっと息を吸い込むような咳発作」を伴うようになります。小さいお子様の場合は、咳が続いて、顔が真っ赤になったり、咳き込み嘔吐や無呼吸状態を引き起こす場合があります。2-3週間くらいの経過で、徐々に回復していきますが、数か月にわたって症状が長引くことがあります。
最後に回復期という激しい咳込みは落ち着くものの、発作性の咳が出るなど、軽いせきの症状が続き、全経過約2~3カ月で回復すると言われています。
成人や百日咳ワクチン接種済の方が百日咳に罹患した場合、上記のような典型の経過ではなく、ごく軽症で収まることもあるため、他のウイルス性上気道炎と判別が付きづらくなります。
百日咳はどんな注意が必要?
百日咳は乳児(1歳未満)が感染すると、重症化しやすいことが知られています。特に3-6ヶ月未満のお子様では肺炎や低酸素脳症、無呼吸発作により命を落とす可能性もあります。成人の場合は命を落とすほど重症化することはほとんどありません。
咳が強い状態の時に、抗生剤を使用しても効果が乏しいため、予防(ワクチン接種)が重要になります。現在では定期接種の5種混合ワクチンに百日咳のワクチンが含まれていますから、生後2ヶ月からスケジュール通りに接種をきちんと行っていただければと思います。
米国では新生児期から乳児期の百日咳を予防するために、成人用三種混合(Tdap)ワクチンを妊婦に接種して胎児への移行抗体を増加させる方法も行われておりますが、2025年4月現在、残念ながら日本ではまだ承認されておりません。今後の日本でのワクチン導入がまたれるところです。
ワクチンの効果は10年くらいで減弱するため、小学生くらいの年齢でも流行しやすいといわれています。予防策として、三種混合(DPT)ワクチンを任意接種で接種するという方法もあります。
百日咳の診断と治療法は?
百日咳の診断は、菌培養、血清学的検査、遺伝子検査などがあります。当院ではLAMP(loop-mediated isothermal amplification)法という鼻腔粘膜のぬぐい液を外部検査機関に提出し、診断をつける方法を用いています。検査結果が出るまでは2日から4日間かかります。
治療は、抗生剤の治療が必要です。自然軽快してしまう場合もありますが、抗生剤を使用した方が感染拡大を防げると言われております。
抗生剤の種類はマクロライド系(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン)と言われる種類が有効と言われています。
治療時期はカタル期という初期の段階で有効と言われており、発症から時間が経過すると治療効果は落ちてしまいます。
無治療の場合、菌排出は咳の開始から約3週間持続すると言われていますが、抗生剤による適切な治療により、服用開始から5日後には菌の分離はほぼ陰性となると言われております。
学校保健安全法でも出席停止の日数が定められており、「特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌薬療法が終了するまで出席停止」となっております。
まとめ
・百日咳が東京でも流行の兆しがあります。止まらない咳が続く、百日咳と診断された方と接触があった場合は注意が必要です。
・乳児は重症化する可能性があります。ワクチン接種をスケジュール通り行うと共に、いつもの風邪と異なり、激しく立て続けに起こる咳が続く場合は医療機関にご相談下さい。
・百日咳は抗生剤治療が有効です。初期の段階での治療が感染の伝播を抑えることにもなりますので、早めの医療機関への相談、治療を心がけましょう。
■クリニック名
医療法人社団杏音会 土屋クリニック
■標榜科
内科・消化器内科
■院長
土屋 杏平
■所在地
〒116-0003 東京都荒川区南千住7丁目12−15
■電話番号
03-3806-9029