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水疱瘡(水ぼうそう)が流行しています

2025.05.29

今回は、全国的に流行の最中にある感染症「水疱瘡(みずぼうそう)」について解説したいと思います。水ぼうそうは、特に子どもの間で一般的に見られる病気ですが、大人にでも感染することがあります。時に脳炎や髄膜炎、視神経炎など重症化することもありますので注意が必要です。

今回のコラムでは水ぼうそうの基本情報、症状、予防法、そして治療法について詳しく解説していきたいと思います。

水疱瘡(水ぼうそう)とは?

水ぼうそうは、varicella zoster virus(VZV)によって引き起こされる感染症です。このウイルスは空気感染(長期間空気中に滞在する)するため、通常のマスクをしていても感染してしまうくらい伝染力が強いウイルスとして知られています。

潜伏期は10日から21日(約2週間程度)と言われており、比較的長くなっています。

水ぼうそうの主な症状は、発疹と水疱です。これらは体のどの部分にも現れる可能性がありますが、特に顔、頭皮、胸、背中に集中することが多いです。最初は赤い発疹として始まり、その後小さな水疱(水ぶくれ)に変わります。これらの水疱は非常にかゆみを伴い、やがてかさぶたになって治癒します。この水疱の中にウイルスが存在しており、水疱が破れると外部にウイルスが浮遊します。ですから学校保健法で、水ぼうそうは「すべての発疹が痂皮化(かさぶたになる)するまで出席停止」となっているのです。

他の一般的な症状としては、発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振などがあります。これらの症状は通常、発疹が現れる前に始まります。

発疹が出るまでは他のウイルス感染と見分けをつけるのは困難です。

予防法について

最も効果的な予防法はワクチン接種です。水痘ワクチンは非常に効果的で、安全性も高いとされています。小児では水痘ワクチンは定期接種のワクチンに組み込まれており、2回接種を行います。1回目は生後12ヶ月から15ヶ月の間、2回目は1回目から3ヶ月以上、標準的には6ヶ月から12ヶ月空けて接種します。水痘ワクチンが定期接種となったことで、幼児期の水ぼうそう感染は大幅に減ったと言われています。ただ、最近ではワクチンを接種してから10年くらい経つと予防効果が落ちてきて10歳前後での感染が多く見られるようになっています。ただ、ワクチン接種により一度抗体を付けていると、軽症で済むことが多く、全身に皮疹が沢山出現したり、合併症をきたすような症例は減ってきています。

昔水ぼうそうにかかったことのある人でも、再感染により水疱が身体に出現することもあります。

帯状疱疹は水ぼうそうと原因ウイルスは同じですが、水痘ウイルスが神経に潜伏して、それが再活性化して皮疹が出るので、全身に出現することは少ないです。

治療法について

水ぼうそうの治療は主には症状を和らげること(対症療法)を目的としています。

かゆみを軽減するためには、抗ヒスタミン薬や炎症を抑える効果のあるクリームやかゆみ止めクリームを使用することがあります。また、発熱や痛みには解熱鎮痛剤を使用することが一般的です。

水ぼうそうは通常、自然治癒する病気ですが、重症化した場合や合併症が疑われる場合には医師の診察を受けることが重要です。

水ぼうそうは通常軽度の病気ですが、一部の人では合併症を引き起こすことがあります。特に13歳以上や免疫力が低下している人の場合は注意が必要と言われます。脳炎や髄膜炎、2次細菌感染による皮膚炎、中耳炎、肺炎などがあります。数日経っても全身状態が自然軽快しない場合は、医療機関に相談しましょう。

水ぼうそうに対する抗ウイルス薬(アシクロビルなど)の治療もありますが、発症早期に治療を開始しないと効果が乏しいと言われており、一般的に皮疹出現後24時間以内投与が推奨され,72時間以降の投与では効果は著しく低下すると言われています。効果としては1日程度有熱期間が短くなり、皮疹が改善するのが早まり、皮疹の数も少なくなるとは言われています(Dunkle LM,  et al. A controlled trial of acyclovir for chickenpox in normal children. N Engl J Med. 1991 Nov 28;325(22):1539-44.)。

自然治癒する病気ではあるので、絶対に抗ウイルス薬が必要な病気ではありませんが、発症早期に受診可能な場合や早く直したい場合は抗ウイルス薬の治療を検討してみても良いかもしれません。

まとめ

・水ぼうそうは感染力が強いウイルスです。水疱からウイルスが放出されるので、全ての発疹がかさぶたになるまでは他人との接触をなるべく控えましょう。

・水ぼうそうの予防にはワクチン接種が有効です。定期予防接種は忘れずに2回受けましょう。

・水ぼうそうの治療は主には対症療法ですが、発症早期であれば抗ウイルス薬の治療も有効です。発症から72時間以内に医療機関を受診可能な場合は検討してみてもよいかもしれません。

■クリニック名
医療法人社団杏音会 土屋クリニック

■標榜科

内科、消化器内科

■院長
土屋 杏平

■所在地
〒116-0003 東京都荒川区南千住7丁目12−15

■電話番号
03-3806-9029

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