今回のテーマは「脂肪肝炎」について解説していきます。
肝機能異常は以前はC型肝炎やB型肝炎などの慢性肝炎やアルコール性肝炎が多かったのですが、近年ではそれらは減少傾向にあり、「脂肪肝炎」が増加していることが分かっています。
脂肪肝炎とは「摂取エネルギー多いため、消費しきれないカロリーが肝臓に貯蔵され、肝臓にダメージが生じている状態のこと」です。

以前は脂肪肝炎は「非アルコール性脂肪肝炎(NASH:Non-Alcoholic Steatohepatitis)」と呼ばれていましたが、「代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASLD:Metabolic Dysfunction Associated Steatotic Liver Disease)」と近年では呼び方が変わってきています。
これまでは肝臓が悪いと肝硬変や肝不全、肝臓癌になるといった肝臓にまつわる病気のみの関連と思われていたのですが、実は脂肪肝炎は心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患や糖尿病など全身の病気に関連していることが分かってきたため、代謝機能障害関連といった名前に変わっています。
簡単に脂肪肝炎かどうか見分ける方法として、肝酵素のAST、ALTのうち、ALTの方が基準値より高い場合は、脂肪肝炎の可能性が高いです。健康診断でALTが高い、お酒をあまり飲んでいないのにγGTPが高いなど指摘される方は、要注意です!
ここから先は脂肪肝炎・肝機能異常のよくある原因5つについて解説していきます。
原因①体重増加
体重が以前と比べて2-3kg 以上増えて、肝酵素が上昇している場合は、脂肪肝炎が起きている可能性があります。
体重が増えるということは身体の筋肉や脂肪がついてきたということであり、内臓の肝臓にも同じようにエネルギーが貯蔵されます。
肝臓に溜め込めるエネルギーも上限があるので、それを上回ると肝臓に炎症が起きて、肝細胞が破壊されてしまいます。その結果、肝酵素(ASTやALT)の上昇が起きます。

原因②糖分・炭水化物
脂肪肝と聞くと、肉類、揚げ物など脂肪分を摂り過ぎてしまっているからと思われる方が多いのですが、多くの場合は炭水化物や甘いもの(糖分)が脂肪肝の原因です。私たちの生活の中で簡単にエネルギーが摂れるものは炭水化物です。時間がない時や調理が面倒くさい時などは、ご飯、パン、うどん、ラーメンなどが調理も簡単で、お店でも一人で食べやすいものだと思います(ラーメン+半チャーハンなどは炭水化物+炭水化物ですね)。

ジュースなどの飲料も要注意です。果実・野菜ジュースや市販のカフェラテなども糖分が多く入っています。栄養ドリンクも飲料の中に糖分が多く入っていますので、頻繁に飲んでいると肝障害をきたすこともあります。

若い頃や子供の頃はジュースを沢山飲んでいても肝機能異常は起こさなかったのにと思われる方もいらっしゃると思いますが、年齢と共に代謝は変わっていきます。やはり健康診断で肝機能異常が指摘された場合は、
体重が増えてきている、肝機能異常が指摘されている方で、ここ1週間の食事を思い出して、炭水化物を摂りすぎていないか確認してみてください。
原因③サプリメント・漢方薬
最近では様々なサプリメントが発売されており、通常の食事で摂取出来ないビタミンや微量元素などを摂取できるという点ではサプリメントは優れていると思います。ただ、サプリメントの中には主成分だけではなく、成分表に記載のない添加物などで肝臓の代謝に異常をきたして、肝機能異常を起こす方がいます。体重は増えてはいないし、食事も気をつけて、健康面に気を遣いサプリメントを摂取している方で肝障害を起こしている場合は、原因がサプリメントかもしれません。
漢方薬も成分のよっては肝障害を起こすこともありますし、複数飲み合わせると肝代謝が悪くなり肝障害を起こすことがあるので注意が必要です。

原因④プロテイン
タンパク質が不足しやすいので、タンパク質を摂ると良いと近年で言われており、プロテインを摂取している方もいるかと思います。これも摂りすぎると肝臓に栄養が蓄積されすぎて脂肪肝炎をきたします。タンパク質を摂る目安としては1日1.2g/kgまでを目安にするといいと思います。筋トレをして筋破壊があれば、プロテインを摂って筋細胞に栄養が貯蔵されるのですが、筋トレをせずにプロテインを摂り、栄養が余ってしまうとそれは肝臓に貯蔵されてしまうので注意が必要です。プロテインを摂取する場合は、自分の体重から計算して1日何gと決めて摂取するようにしましょう。

原因⑤運動不足・筋肉量の低下
運動不足や筋肉量の低下は基礎代謝の低下を招きます。基礎代謝が低いと、摂取エネルギーとのバランスがより悪化しやすくなっていまいます。
運動することでエネルギーを消費するという短期的な目標もありますが、それよりも筋肉を付けたり、運動習慣により基礎代謝を上げるという効果がありますので、運動習慣をつけることは肝臓にとって良いといえます。

また筋肉をつけると一見体重は増えますが、摂取して余ったエネルギーが筋肉にも貯蔵されるようになりますので肝臓の負担は減ります。
ただし血液検査をする前日などに過度な筋トレをしてしまうと筋細胞の破壊により肝酵素上昇を認めることがあるので、血液検査前の運動には注意してください。
まとめ
・飲酒量が少なくても、γGTPやAST、ALTが上昇し、肝機能異常を起こすことがあり、その場合は脂肪肝炎を起こしている可能性があります。
・脂肪肝炎の原因は、色々ありますが、今回のコラムに当てはまることがあれば、生活習慣を見直してみると改善するかもしれません。
・脂肪肝炎以外にも肝障害を起こす原因はありますので、肝機能異常が続く場合は、消化器内科や肝臓専門医にご相談ください。
荒川区の土屋クリニックの院長は日本肝臓学会肝臓専門医を取得しており、肝臓の数値の異常や原因精査の相談を受け入れております。
健康診断で肝機能異常で再検査や要精密検査になったなど、肝臓のことで心配な方は是非一度ご相談ください。

■クリニック名
医療法人社団杏音会 土屋クリニック
■標榜科
内科、消化器内科
■院長
土屋 杏平
■コラム著者、監修
■所在地
〒116-0003 東京都荒川区南千住7丁目12−15
■電話番号
03-3806-9029

