7月になって、暑さが増すようになり、汗をかきやすい季節になってきました。

「人より汗をかきやすい」、「シャツに汗じみがついて気になる」、「脇汗のせいで仕事や勉強に集中できない」、「制汗剤を使用しても汗のにおいが気になる、汗が収まらない」など汗のトラブルでお困りの方は、もしかしたら、多汗症という診断がつき、適した治療法を紹介できるかもしれません。

多汗症とは
多汗症とは、全身に発汗を伴う「全身性多汗症」と体の一部のみ発汗量が増加する「局所性多汗症」というものに分かれます。
「全身性多汗症」には他の疾患である結核、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫、脳梗塞後遺症、脊髄損傷後遺症などに続発して多汗症状を伴うこともあります。
「局所性多汗症」については脇(腋窩)や手のひら、顔面などの部分からのみ多くの汗が放出されてしまうものをいいます。
汗の役割としては、汗により皮膚を冷却する体温調整機能としての役割や、動物においては足裏の滑り止めの役割をもっています。敵から逃げ、高いところに飛び移る時に必要となります。
その他精神的発汗といい、緊張や恐怖、不安などで誘発されることや家族性に多汗症の遺伝的な要因も知られています。
脇(腋窩)の汗は温熱性発汗といって体温の上昇と共に汗が放出されるのですが、腋窩は全身に比べて発汗の開始の体温の息が最も低く、全身が発汗しない低体温でも発汗しやすい部位となっています。

また腋窩は腕で塞がれた部位でもあり、汗が蒸発しないことから少量の発汗でも多汗と認識されやすいのです。
日本人の5%は脇の多汗症というデータが出ています
日本人における多汗症の研究(Fujimoto,T et al: J dermatol .2013:40(11) :886-890.)では、日本人は5.75%が原発性腋窩多汗症であると指摘しています。
多汗症は10代から40代の女性に多いというデータがありますが、男性でも症状に困る方はいます。
夏に症状が気になるという方が多い(53%)ですが、1年中症状に悩まされている方も多い(37%)です。
多汗症は、汗の量に困る以外にも、汗のせいで周りの目が気になり人との交流を避けるようになったり、着る服が制限されたりなどQOLの低下を招くことが知られています。

原発性腋窩多汗症の診断基準は、
□最初に症状が出るのが25歳以下である
◻︎左右両方で同じように発汗が見られること
◻︎睡眠中は発汗が止まっていること
◻︎1週間に1回以上多汗の症状が出ること
◻︎家族にも同じ疾患の患者さんがいること
◻︎脇汗によって日常生活に支障をきたす
以上の6つのうち、2つ以上当てはまる場合は、「原発性腋窩多汗症」の診断となります。(原発性多汗症診療ガイドライン 2023年改訂版より)
原発性腋窩多汗症の治療法
以前は抗コリン薬といって、神経から汗を出す指令を汗腺が受けないようにする飲み薬しかなかったのですが、内服薬は全身に効果が出てしまうため、口渇感や眼圧の上昇、尿閉など抗コリン作用による副作用があり、多くの人に使用することが出来ませんでした。
近年では外用抗コリン薬というものが使用できるようになり、保険適応で処方も可能となりました。(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)


(エクロックゲルは12歳未満の方、ラピフォートワイプは9歳未満の方には処方できません)
「手掌多汗症」といって、手汗に対しても同様の機序で症状を抑える薬もあります(アポハイドローション)。

こちらは塗ることで皮膚から吸収され、局所のみに作用し、神経から汗を出す指令を汗腺が受け取れないようにしてくれるので、発汗が収まります。
腋窩や手掌だけに塗ることで、他の部分は汗をかくので、熱中症などの心配もそこまでありません。
使用方法としては、1日1回入浴後や就寝前に水分をよく拭き取ってから塗ります。
効果は数日から2週間程度で現れることが多いですが、6週間程度は継続して使用することが推奨されています。
汗は体温調節や外界のウイルスや細菌から体を守る作用などもあり、身体にとって大事な役割を担っています。
治療により全く発汗が起きないようにするのではなく、汗を気にして生活の質が下がらず快適に過ごせることを目指していきましょう。

まとめ
・多汗症はプライベートや仕事でQOLを下げうる疾患として注目されています。
・多汗症(腋窩)、多汗症(手掌)の治療薬として保険適応となってきた薬が販売されています。
・多汗症でお悩みの方は、土屋クリニック(荒川区南千住)含め、多汗症に対応している医療機関にご相談してみてください。

■クリニック名
医療法人社団杏音会 土屋クリニック
■標榜科
内科、消化器内科
■院長
土屋 杏平
■資格
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医
日本医師会認定産業医
日本小児科学会 会員
日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医
日本内科学会認定内科医
荒川区立第三瑞光小学校 学校医
■所在地
〒116-0003 東京都荒川区南千住7丁目12−15
■電話番号
03-3806-9029

