夏風邪の3大疾患といえば、「咽頭結膜熱(プール熱)」、「ヘルパンギーナ」、「手足口病」です。
この中でもこの夏(2024年)に全国的に感染拡大が話題となっている「手足口病」について今回は解説します。
手足口病は夏に流行するウイルス性の疾患の1つで、乳幼児が初感染することが多いですが、子供から大人に感染することも多く、子供がいる家庭や子供と接触する仕事をしている人などは注意が必要です。
原因となるウイルスは、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどといわれています。一度感染しても、違うウイルスや型が異なれば、来年や1年のうちに2回、3回感染することもあります。
感染すると、発熱や倦怠感などの症状が出現した後に、手足や口に米粒大の赤い発疹がいくつも出現します。(後から熱が出てくるパターンもあります)
手足の発疹は「手のひら」、「足の裏」に出現することが多いです。
手足、口以外にも、「膝の裏」や「肘」、「お尻」などに発疹が出現することもあります。
手足口病の口に出来る発疹は舌や歯茎など前方に発疹ができることが多いといわれています。
(ちなみに喉の奥の方に水疱が出来て、全身に発疹がない場合はヘルパンギーナの診断となります)
口に発疹が出来ると口内炎のようになり、痛みを伴いますので、乳幼児の場合は水分や食事をあまり摂ってくれなくなることもあります。
その場合は、熱いものや冷たいもの、塩分の強いものなどは避けて、冷ましたおかゆやうどん、常温にした飲み物、ゼリーなどを少量ずつ摂るようにしましょう。
発熱時はいつもより水分の消費量が増えるので、水分摂取量が少なくなると、脱水症になる恐れがあります。痛くて苦しいかもしれませんが、水分を多めに摂るように意識しましょう。
手足口病の治療法について、特効薬などはなく、対症療法が基本となります。
熱を下げたり、手足や口の発疹に軟膏を塗ったりなどになります。
数日から5日間程度で改善することが多いですが、完治後に爪が剥がれてしまうといったケースがあったり、髄膜炎や脳炎といって、脳内にウイルスが侵入して重症化するケースもあります。その場合は、意識が朦朧として、食事や水分が全然摂れなかったり、ひどい頭痛や嘔吐を伴いますので、そのような場合にはかかりつけ医や救急に相談し、一度クリニックまたは病院への受診を検討して下さい。
手足口病の登園禁止や出席停止期間については学校保健法でも具体的な日数は決まっていません。
本人の全身状態が安定している場合は登園可能とされているので、熱が治まり、食事や水分が摂れ、日常生活が問題なく送れるようであれば、出席可能と考えて良いでしょう。
手足口病の予防としては、感染経路が飛沫感染や接触感染となっており、アルコール消毒効果は乏しいので、手洗い・うがいが基本となります。手足口病のウイルスは、発症後も2−4週間程度、唾液、痰、便などに潜んでいますから、食事介助やおむつ交換した後にはしっかりとした手洗いが重要です。タオルの共用なども避けた方が良いでしょう。
まとめ
「手足口病」は夏に流行し、子供から大人にも感染するウイルス性疾患です。
口に発疹が出来ると、水分や食事を摂りにくくなりますが、こまめな水分・食事摂取を行い、脱水症にならないように注意しましょう。
髄膜炎や脳炎に進展するケースもあるので、心配な場合は一度かかりつけの医師に診察してもらい、状態の把握や正確な診断をしてもらうのが良いと思います。
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