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高血圧について正しい知識~10のファクト~について解説します。

2026.08.18

最近土屋クリニックにも健診結果や人間ドックの結果を見て「高血圧を指摘された」、「血圧が少し高めだけど、大丈夫かな」と相談に来られる方が増えています。

実は、日本高血圧学会が出している最新(2025年)のガイドラインで「高血圧の10のファクト(事実)」という、国民の皆さんにぜひ知っておいてほしい情報がまとめられています。

今回はこの内容を分かりやすくご紹介したいと思います。

①高血圧は、将来の脳卒中・心臓病・腎臓病・認知症の発症リスクを高める病気です。

65歳以上になると脳卒中や心臓病のリスクは高くなると言われており、要注意です。30-40代で高血圧が指摘された場合も、長年の高血圧は動脈硬化が進行しやすく、その蓄積が様々な合併症となりますので、早めからの正常血圧への降圧が重要です。

認知症と高血圧も関連があり、認知症ではアルツハイマー型認知症が有名ですが、「脳血管性認知症」という高血圧が原因の認知症もあります。「脳血管性認知症」とは脳梗塞や脳出血などの脳血管障害(脳卒中)によって脳組織がダメージを受け、認知機能が低下する疾患です。

②日本では、1年間に17万人が、高血圧を原因とする病気(脳血管疾患)で死亡しています。

こちらの論文(The Lancet Regional Health- Western Pacific 2022;21:100377)が基となっています。

脳血管疾患以外にも、高血圧が原因となる慢性腎臓病の死亡も1年間に3万人程度いることが分かっています。高血圧が原因となる慢性腎臓病は「腎硬化症」と呼ばれ、腎臓の血管に動脈硬化を起こし、血管の内腔が狭くなって血液量が減少することで腎臓に障害をもたらす疾患です。

糖尿病だけではなく、高血圧も透析に繋がる病気であることを知って頂ければと思います。

③日本の血圧コントロール状況は、主要経済国の中で最下位レベルです。

主要経済国12カ国のデータ(Lancet 2019;394:639-51.)が基となっています。

高血圧患者のうち、血圧がコントロールされている割合(140/90mmHg未満)は、日本人男性では24%、日本人女性では29%であり、米国(男性54%,女性49%)、カナダ(男性69%,50%)、ドイツ(男性48%,女性58%)、韓国(46%,53%)と比べて低い割合となっています。

その理由としては、日本が世界的にみても、塩分摂取量が多いことや、年齢が上がれば血圧が上がるから対策は不要という認識が一般的となっていることなどが考えられます。

④収縮期血圧を10mmHg下げると、脳卒中や心臓病が約2割減少します。

こちらも論文(Ettehod D,et al. Lancet. 2016;387:957-967.)が基になっております。

Ettehadらによる、123件のランダム化比較試験(計約61万人が参加)を対象とした解析で、収縮期血圧が10mmHg低下するごとに、主要心血管イベント:20%減少、脳卒中:27%減少、冠動脈疾患:17%減少、心不全:28%減少、全死亡:13%減少したことが確認されました。

このリスク減少というのは、治療前のベースラインの血圧の高さや、既往症で心血管疾患や糖尿病を持っているかどうかに関わらず、認められたとのことでした。

⑤高血圧は年齢にかかわらず、収縮期血圧を130mmHg、拡張期血圧を80mmHg未満まで下げると、それ以上の血圧に比べて、脳卒中や心臓病が少なくなります。

2019年のガイドラインまでは、140/90mmHg未満を目標にしていた集団(高齢者、脳血管疾患や慢性腎臓病の既往者)についても、この数年間のエビデンスの蓄積により、診察室血圧は130/80 mmHg未満 、家庭血圧(朝・晩の平均)は125/75 mmHg未満 が目標値されるようになったと最新のガイドライン(日本高血圧学会 高血圧管理・治療ガイドライン 2025)で記載されています。

もちろん個人の特性や状況に応じて降圧のレベルなど調整が必要ではありますが、以前の年齢+90の血圧で良いという科学的根拠は現代では覆されています。

⑥生活習慣病の改善(減塩、運動、肥満の是正、節酒など)で血圧は下がります。

図のように、減塩、運動、減量、節酒で少しずつ血圧を下げることは出来ます。

初期投与量の降圧剤で得られる降圧効果は大体-5mmHgから-10mmHgくらいですから、減塩・運動・減量・節酒を組み合わせることで降圧剤以上の効果を得られることも可能です。

⑦日本人の食塩摂取量は10g/日dと世界の中でも多く、高血圧の人は6g/日未満にすることが勧められています。

塩分が高血圧を引き起こす理由について解説します。

塩分を沢山摂取すると、血液中のナトリウム濃度が高くなります。体には濃度を一定に保つ仕組みがあるため、濃度を下げるために水分を溜め込もうとします。これにより、体内の血液全体の量が急激に増加します。パンパンに膨らんだ風船と同じように、血液量が増えると血管の壁にかかる圧力(血圧)が強くなってしまいます。さらに、心臓は増えた血液を全身に送り出すために、より強い力でポンプを動かさなければならず、これも血圧を上げる原因になってしまうのです。

続いて減塩の方法についてご説明します。

日本人の平均摂取量は約10gのため、まずは「今より4g減らす」意識が大切です。無理なく続けるための3つのコツをご紹介します。

①麺類のスープは残す:これだけで2〜3gの減塩になります。

②加工食品を控える:ハムや練り物、漬物には塩分が多く隠れています。

③味付けの工夫:醤油を「かける」から「つける」へ変え、レモンやスパイス、出汁の旨味を活用しましょう。

⑧目標の血圧レベルに達するために、多くの高血圧患者では血圧を下げる薬が2種類以上必要です。

降圧剤1剤で下げられる血圧は5mmHgから10mmHg程度と言われています。降圧効果を高めるためには同じ薬の量を2倍にするよりも、異なる作用機序の薬を使用することで相乗効果をもたらし、より効果的に血圧を下げることができるといわれています。

ですから、目標の血圧レベルに達しない場合は、薬を2剤併用することをお勧めています。

血圧の薬には色々な種類があります。代表的なものとしては、「カルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)」という血管を拡張させて血圧を下げる薬や「ACE阻害薬(カプトプリルなど)、ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)(オルメテック、アジルサルタンなど)」といったレニン・アンジオテンシン系という血圧を上げようとするカスケードを抑制する薬、「利尿薬(チアジド系など)」といって体内の余分な塩分と水分を排泄し、循環血液量を減らして血圧を下げる薬などがあります。

⑨血圧を下げる薬は、安価・安全で効果があり、副作用よりも血圧を下げる利益の方が大きいことがほとんどです。

「一度飲むとやめられない」「副作用が怖い」と、血圧の薬に不安を感じる方は少なくありません。しかし、現代の降圧薬は「安価・安全・効果的」であることが世界中の膨大な研究で立証されています。現在主流の薬は1日1回の服用で安定した効果を発揮し、薬価もジェネリック医薬品の普及により、1日あたり数十円程度と経済的です。また、長年の臨床データから重篤な副作用の頻度は極めて低いことが分かっています。何より、薬を飲む利益は非常に大きいです。血圧を適切にコントロールすることで、脳梗塞や心筋梗塞といった命に関わる重大な病気の発症リスクを4割近く減らせることが科学的に証明されています。万が一、ほてりや咳などの初期症状が出ても、薬の種類を変えることで安全に対処できます。「副作用のわずかなリスク」を恐れるよりも、「脳や心臓を守る圧倒的なメリット」のために、医師と相談しながら正しく服薬を続けることをおすすめします。

⑩日本は家庭血圧計が普及しており、家庭での血圧測定は高血圧の診断と治療に役立ちます。

診察室血圧はあくまで「点」の評価ですが、家庭血圧は日常生活下での「線」の評価です。多くの疫学研究において、家庭血圧の値は診察室血圧よりも、将来の脳卒中や心筋梗塞の発症とより強く相関することが証明されています。診察室では血圧が高くなってしまう白衣高血圧や仮面高血圧といって診察室では正常だが家庭では高い、特に早朝高血圧や夜間高血圧に当てはまる方もいます。

高血圧を健康診断で指摘されたら、まずは自宅で血圧測定を行い、自身の血圧の平均的な数値はどうなのか、朝や夜の推移・傾向がどうなっているのか把握することが重要です。

家庭での血圧測定の仕方については、YouTubeの動画で解説したものがありますので、以下を参考にしてください。

 

まとめ

「血圧が高い」と言われると、つい身構えてしまうかもしれません。しかし、早くからコントロールを始めれば、怖い病気を防いで自分らしい生活を長く続けることができます。
土屋クリニックでは、AIチャットやWeb予約などの新しい仕組みを取り入れ、忙しい方でもスムーズに受診できる環境を整えています。

血圧の数値で少しでも気になることがあれば、散歩のついでに立ち寄るような気持ちで、高血圧についてお気軽に土屋クリニックへご相談ください。
南千住の皆様が、今日も明日も元気に過ごせるよう、全力でサポートさせていただきます。

 

■クリニック名
医療法人社団杏音会 土屋クリニック

■標榜科

内科、消化器内科

■院長
土屋 杏平

■資格

日本消化器病学会 消化器病専門医

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医

日本肝臓学会 肝臓専門医

日本医師会認定産業医

日本小児科学会 会員

日本プライマリ・ケア連合学会認定 家庭医療専門医

日本内科学会認定内科医

荒川区立第三瑞光小学校 学校医

■所在地
〒116-0003 東京都荒川区南千住7丁目12−15

■電話番号
03-3806-9029

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